0円ストロング生活の始め方

これまでの総括と再考!ストロングな家族の在り方【自給自足家族・実録レポート】

#連載エッセイ
#0円ストロング生活の始め方

面倒くさいは禁句!何でもアリな自給自足で毎日がエンタメ。青森の片田舎で笑っちゃうくらい自由に暮らす田村家のリアルを紹介します。

ストローングッ!
いよいよ終結!慣れてきた頃に終わっちゃうこのストロングなご挨拶。
うーん、これまでいろんなストロングがありましたねぇ…(しみじみ)
今回はこれまでの総括とでもいうべき、ストロングな家族の在り方について書いていきたいと思います。
さぁ最後も元気にご唱和ください。せ〜ので…ストローングッ!

この記事は書籍『 都会を出て田舎で0円生活はじめました 』の関連コラムです。

人生、ひとりじゃムリ。

この地球上には多種多様な生物がウジャウジャいる。
この世に生まれたときから即サバイバル生活が始まってしまうワニような卵生動物もいれば、何年もかけて親に面倒を見てもらってやっと世に出ていくカンガルーのような胎生動物もいる。
美しい木の実を食べて暮らすメルヘンチックな小鳥もいれば、弱肉強食の世界で血肉を貪るバイオレンスな獣もいる。どれが良い悪いではなく、それぞれの生物が長い年月をかけて進化、環境適応して「よしこれだ」という心地よい暮らし方を見つけてその命を繋いできたわけだ。
我々人間の場合、古来より集団で村のような社会を形成し、その中で家族を築き、子孫を繁栄させてきた。人間というものは、生まれてから立ち上がって歩くまでおよそ1年を要する。これは地球上の生物の中でゲキレツに遅い成長スピード。お馬さんなんて生まれて2時間後には歩き出しちゃう(自力で移動できないと外敵に襲われるからね)。
また、朝起きてから寝るまでの一通りの行動(食べる、排泄する、意思伝達など)を親の介助なしに自分でできるようになるまでは、個人差はあるが5年ほど要する。さらに生きる上で必要な食料や住まいを得て、家族を形成できるようになる、いわゆる「一人前」になるには生物的なものと人間社会を考慮すれば20年近くもかかってしまう。ウワォ、なんというスロースピード。20年なんていったら、他の哺乳動物の大半はとっくにその寿命を終えている時間だ。
なぜにそんな余裕ぶっかまして成長できるのか?
それは家族と社会に守られているから。オムツを替えてもらったり、学校へ行くのを見送られたり、誕生日を祝ってもらったり、学校の先生に叱ってもらったり、彼女とデートしたり、上司に仕事のフォローをしてもらったり、事故に遭って救急車で運ばれて入院したり…
主に幼少期は家族の愛に、青年期以降は社会の先輩方やシステムにお世話になりながら、実に多様なアングルから一人前になっていくというわけだ。
前置きが長くなったが、人間ってやつはウザったいほど家族的で、社会的な動物と言える。俗世から離れて山奥で仙人のようになった孤高の人もいるかもしれないが、その人でさえ家族がいたはずだし、生きていくための知識や術(すべ)を教えてくれた先人がいたに違いない。つまり、人間は一人では生きていけないのである。
かくいう僕も今でこそ自給自足生活をハイブリッドに、トライ&エラーを繰り返しながら曲がりなりに続けてはいるけど、かつては親に育てられ、学校教育を受け、世の中の荒波に多少なり揉まれながらも諸先輩や社会システムにお世話になってきた。僕という存在は独りでは形成されなかっただろうし、今の暮らしもまたパートナー無しでは成し得なかっただろう。

ストロングなパートナーの見つけ方。

さて、このパートナーというものが家族において重要だ。親も子も選ぶことはできないけど、伴侶は選ぶことができる。この選択可能なお相手をどうやって見つけ出し、ストロングな家族を形成につなげるか?
まぁ人それぞれ好き嫌いは否めないだろうけど、容姿のカワイさ/カッコよさや、社会的なステータスで選んじゃったらそりゃ後悔することになるでしょうっていうのは皆さんの想像に易しだろう。せいぜい同棲して1年もすれば「暮らしの摩擦」が出てくる。生活する環境、住まい、食べるもの、子どもの育て方、お金の使い方などなど。色恋や見栄が先行して一緒になったところで待っている思考は「なんでこの人と一緒になったんだろう」というストレスマインドだろう。
我が家の場合、このパートナー探しの手法こそ突飛ではあったけど(詳しくは書籍を読んでね)、「この世界でどうやって暮らしていくか→そりゃ自給自足っしょ!」をスローガンに掲げ、その結果、人生の目的が合致するパートナーと出会うことができた。これから先、同じ方向を見ながら一緒に進んでいけるというのはこの上なくストロングな関係だし、永続性もある。当然ながら意見が衝突することは限りなく少ない。自分はどう生きていきたいのか? そんな夢や希望、思想や哲学を、多少ウザがられてもいいから表に出していけばきっと素敵なパートナー、仲間が見つかると思う。

今の時代、何が最もストロングな暮らし方か?

昨今の世の中に不満や不安を覚える人も多いだろう。自分の、友人の、家族の生活はこれから大丈夫だろうか。今後の値上げはどうなる? 環境問題は? 収入は維持できるだろうか?
悪い方に考えればキリがない。しかし、人間も所詮動物みたいなもの。食べ物でお腹を満たせて、雨風や寒さをしのぐ空間でぐっすりと眠りにつければ御の字。さらに様々な依存契約で生じる月々の支払いを最小限に抑えることができればお金の心配はほとんどいらない。自分が自分らしく、家族が家族らしくあるための小さなお城というか王国というか、そんなものを確保できれば安心ではないだろうか。自分のお城に住み、領地内で育った食料を食べ、そこで賄ったインフラやエネルギーを利用しながら暮らしていく。できればお隣のお城や王国といがみ合うことなく仲良く、困った時には協力もしながら。
そんな暮らし方のヒントっておそらく自給自足、0円生活にたくさんありそうだし、実際に我が家は社会情勢の影響をほとんど受けず、コロナ前と変わらない暮らしをずっと続けている。やることだらけの日々ではあるけど、家族みんな不安よりもはるかに大きな充足感に満たされている。

役割があるって素晴らしい。

今の社会、男女雇用機会均等法が敷かれ、男性も女性もバリバリ仕事に出て働いてお金を得ているわけなんだけど、夫婦でもパートナー関係でも共働きに出れば多少なりとも家事のことがオロソカになる。食事掃除、洗濯、食事の支度、子どもがいれば幼稚園なり保育園なりに預けることに。
大人になってから費やす大半の時間は「お金を稼ぐ」ことに費やされてしまうわけなんだけど、そこで得たお金を駆使して衣食住を賄ったり、インフラやエネルギーの契約をしたり、オロソカになっちゃう家事部分を便利で時短な家電製品、生活サービスで補填したりしているわけだ。
拙著にも書かせてもらっているが、お金を稼ぐという行為は便利で万能なやり方のように見えて何と遠回りなことなんだろうか。
その点、我が家はお金を稼ぐことをあまり優先していない。衣食住、インフラ整備、エネルギー生産、子育てをできる限り自分たちでおこなう。
そうなってくると、DIY系は力も要するから男である僕のシゴトだよねとか、畑と料理はそれに関心・興味が人一倍ある嫁さんのシゴトだねとか、自ずと生活のありとあらゆる所に役割分担ができてくる。これが面白いことに年々、精巧なパズルのようにピッタリとハマってくる。「あぁ、コレは嫁さん無しには作れない料理だな」、「うん、コレは僕じゃないとできない建築だな」なんて思うこと多々あり。あっさり商品を購入したり、業者さん任せにしたりしていては得ることができない感覚。それはパートナーへの信頼や絆にも繋がっていて何ともストロングな家族関係になっている。

ストロングな子どもとの時間。

先述の通り、うちの子どもは毎日僕ら夫婦と過ごす。日中はやることだらけなので僕と嫁さんが交代で子守にあたる。自由奔放で生活感がない子ども独特の遊びに付き合うのが正直大変なときもあるけど(笑)、日々の成長を一番近い距離で見守ることができるのは親としてとても貴重な時間だ。
保育園に預けてしまえばそりゃシゴトは捗るだろうけど、子どもは成長と共に親からどんどん離れていくもの。膝の上にのっかってくれるのも、手を繋いで散歩してくれるのも今だけだ。この今を噛み締めようと思っている。
教育にしても、保育士さんなどその道のプロにお任せするのも安心だけど、ひらがなを教えたのは僕だぞ、包丁の使い方を教えたのは嫁さんだぞ、なんてことをたくさん言えるのはそれはそれで親としての誇りだ。
他愛のないようで、二度と戻らない日々。家族で織り成したこの時間をストロングと言わずして何と言おう。

ゼロ円の豊さの増産、それを分かち合うこと。

「ゼロ」って、ネガティブに捉えれば「なーんにも無い」ってイメージになるかと思う。だけどゼロは「無限」でもあるし、そこにこそプライスレスなハッピーがあるように感じる。
人が作った社会のシステムの中にあるものはほぼ全て有料・有償だ。もちろん無料のサービスっていうのもあるけど、その裏では税金が使われていたり、巧妙な広告が隠れていたりもする。
だけど自然からの恵みというのは、燦々とした太陽であれ、透き通るような青い空であれ、涼やかな風であれ、大地を潤す雨も、土をゆりかごにして伸びてくる草木も、全てゼロ円だ。それに比べ、なんでもお金、お金…と仕事でも家でもそのことばかり考えちゃって、人間ってなんて卑しい生き物なんだろうって思っちゃうこともある。
だけどちょっと待ってよ、何か大事なやつを忘れてないかと。そうそう、我々人間には無償の「愛」があるじゃないか。なんだか愛とか言うと恥ずかしいよねみたいな風潮があるけど、まさにあれ、人間が生み出せる究極の「ゼロ円な豊さ」なんじゃないだろうか。
日々のお金を稼ぐべく、または社会に貢献するべく、毎日忙しなく働くのも時には良いのかもしれない。だけどそのせいで犠牲にしてしまっているものはないだろうか? それにこそ愛を注いでいこう。自分に、家族に、隣人に、それらを取り巻く環境に。愛を生み出すには忙しくなってはいけない。「心を亡くす」と書いて「忙」って漢字になる。時間があれば心にも体にもゆとりができる。貴重な人生時間をお金に換えるだけの労働はほどほどにしないとね。
食べ物をつくる。住まいをつくる。エネルギーをつくる。インフラをつくる。人との絆をつくる。そこから生み出された豊かさを家族や友人と分かち合う。それを無理なく循環させていく。それは近代社会では無かった新しい時間の使い方。実はそれこそが現代版自給自足の真骨頂。さぁちょっとずつでいいからやってみませんか?

まとめ。

おぉ、名残惜しくていっぱい書いてしまった。ここまで読んでくれた方々、ありがとうございました。目が疲れましたよね。今回ラストのエッセイということでテーマを「家族」なんていう壮大なものにしてしまったのを後悔しております(笑)。
序盤の方でも書いたけど、人間というのはこの家族というものを形成してその命を現在まで脈々と繋いできた。文明が発達していない時代の生活は不便だったろうけど、その反面で生活のあらゆるものを地域や家族で協力して作り出して、そりゃもうストロングな生活だったに違いない。
大人は朝早く起きて山や田畑で働いて汗を流し、子どもは歳も性別もばらばらに野を走り回り、年頃ともなれば村祭りに出かけて恋をした。赤ちゃんからご年寄り、馬や牛までが同じ家に暮らし、それぞれに役割があった。着物も住まいも食べものも、燃料も水も、目の前にある自然からの恵みをダイレクトに受け取って暮らしていた。全ての物は土に還り、ゴミという概念すらなかった。電柱や電線のない村を見上げて見える空は広く、アスファルトもコンクリートもない大地は青々と美しかったろう。自分たちを守ってくれる憲法や法律もなかったけど、自分たちを縛りつけるものもなかった。コンビニも自動販売機もなかったけど、お金をたくさん稼ぐ必要もなかった。大きな病院もなかったけど、そのぶん命を大切に謳歌した。ああ、不便にしてなんて自由で快適なんだろう!
何を隠そう、我が家が目指すところはまさにこの「不便にして自由で快適」。そして、お金稼ぎに躍起にならない「ビンボーにしてゴージャス」、文明の利器も取り入れつつ「原始に戻るようにハイブリッドに進んでいく」暮らしなのだ。
一見、矛盾してるようなこのニュアンス、分かります? もしご理解できる人ならもう頭の中はストロング。さらにもし行動に移せる人ならもうお家もお庭もストロング。気がついた時には家族みんながストロング。それがお隣さんに、そのまたお隣さんにと波及すれば町内会レベルでストロング。アハハ〜と笑ってる間にアレレのレ、この国みんながストロング。最後は地球のみんながストロング。争いも奪い合いもない愛が溢れる世界の完成だ。ちょっと恥ずかしいけど僕はいつもそんなストロングな夢を見て暮らしている。
僕たちは幸せになるためにこの世界に生まれたんだ。さぁ豊かな革命を起こしちゃおう。眉間にシワを寄せてお金に支配されている場合じゃない。自分がこの世界に望む変化にアナタ自身がなるのさ。
それじゃ、みなさんお元気で。この素晴らしい世界のどこかでまたお会いできたら幸いです。




田村余一(Tamura Yoichi)
1977年、青森県南部町生まれ。大学卒業後まともに就職することもなく、フリーターをしながら現代社会への不安と失望を加速させる。20代半ば、富士山で冒険死を試みるも見事に失敗し、おどるような人生を選択。以来ちょっとオカしいくらいのポジティブ思考で独自の人生をクリエイトし始める。伴侶の田村ゆにと電気・ガス・水道を契約しない生活を構築し、持続的DIY農生活を実践しながら、これまでの人生経験の集大成とも言える、地域の「御用聞屋」を開業。デジタルとアナログを混ぜ合わせつつ、一人で百の仕事をこなす現代版「百姓」を目指す。廃材建築家、イベント企画/演出、映像作家、デザイナー、イラストレーター、ナレーター、舞踏家などなど……スキルはムダなくらい多岐にわたる。2023年4月からムラづくりプロジェクト「コミューン」を始め、自給自足生活をムラビトと一緒に共有している。

うちみる(自給自足家族生活オフィシャルWEBサイト)
http://uchimill.naturebounds.com/

うちみるコミューン(自給自足のムラづくりInstagram)
https://instagram.com/uchimill_commune

うちみる動画チャンネル(YouTube)
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